HERB  その昔、人類がその効能を見出し薬酒が生まれた
ハーブリキュール・ハーブスピリッツ誕生の歴史を辿ってみよう・・・

●紀元前古代ギリシャ (BC460年~BC370年)

古代エジプトのワイン樽にハーブの痕跡が発見されたが、文献の残るところまで遡ると、医学界の祖ヒポクラテスは、ワインに400以上の様々なハーブを浸漬し薬効を追求した 当時は蒸留酒というのは確立されておらず、この時代の醸造酒であるワインによるアルコール抽出が効果的であった 現在のベルモットの原型である イタリアのアマーロ、フランスのアメールもアルコールに様々なハーブの成分を抽出させたものの定義から考えればこれが原点となる

●イスラム世界による蒸留技術の発展 (8世紀頃)

非キリスト者の亡命先としてヘレニズム文化(ギリシャ)を受け継ぎ隆盛した中世イスラム世界において、錬金術における蒸留技術の発明というものは文明の進歩に大いに貢献し、香水、薔薇水などが誕生、後にできる嗜好品飲料の礎となる

●ヨーロッパにおける修道士の探究 修道会の誕生 (12世紀〜15世紀)

リキュールの原型は修道会から由来する 当時、修道院は病院の役割を担っており、敷地に多くのハーブを栽培していた ドイツ・ヒルデガルト修道士の植物学は現在の薬学の基礎ともなる ヨーロッパにおける修道会は1100年以降から始まり、十字軍により伝わった蒸留技術は各地でエッセンス抽出、濃縮、様々な物質の混合の研究がなされ、それはエレクシール、秘薬の誕生となる

●大航海時代による物流の発展 (15世紀〜18世紀)

東洋とアメリカ大陸より様々な植物が西欧にもたらされてく中、ドイツやベルギービールが、修道院の僧侶の手に渡ったことで醸造技術が格段の向上をしたように、リキュールもまたキリスト教の修道士たちよって、飛躍的に発展 イタリアにおいてはメディチ家の貢献により、様々なリキュールが生まれヨーロッパへ伝わる

●フランス革命による修道会の解散 (18世紀〜19世紀)

フランス革命やナポレオンの台頭、ヨーロッパにおける当時の啓蒙思想の発達による反修道会的風潮がフランスで起こり、突如修道会は解散となる
いよいよ修道会の秘薬の知識が、民間に開示される アブサンも商品化

●産業革命期、レシピを得た起業家の誕生 (19世紀〜20世紀)

ヨーロッパ全土へ流入された秘薬の知識で、薬草リキュールが商品化
食品革命により、一般庶民の間でも嗜好品文化が発達し需要が向上
産業革命により、連続式蒸留器の発明がなされ、企業化したリキュールメーカーが大衆向けに生産を開始 後に禁酒となるアブサンブームがよき例である

●第二次世界大戦以後 リキュールの衰退そして今

1945年以降新しい世界基準、価値観が生まれ世界中のお酒が輸出輸入される時代の到来  バーにおいてもカクテル文化隆盛時代が到来し、西洋医学の進歩も相まって秘薬としてのリキュールは一時その姿を消す
しかし、健康志向が求められる今、1800年代・1700年代それ以前の伝統医療のレシピの復刻により、滋養強壮を目的とした薬酒が再び脚光を浴びるようになる
例えばジン、薬草ジュニパーベリー(ネズの実)には利尿作用があり、解熱やデトックス効果があると考えられ、17世紀 オランダの医師が考案したものだが昨今、空前の世界的ボタニカルブームにより、小規模生産者によって造られている「クラフトジン」は、ここ日本においても各地で誕生
また、ここ数年で薬草酒専門Barが日本各地で増えていることは喜ばしい

私 SOURCEも仙台の地で2000年より、多くの方へハーブリキュールやハーブスピリッツをご紹介してきた
コロナ禍ではあるが、アブサンスタンドバーを開設したのは、私の愛する「アブサン」の基本の飲み方を知っていただき、健康のための食前酒として様々な世界中のハーブリキュール、国産クラフトスピリッツを更に愉しんでいただきたいとの願いからである

オーナー 相澤ひろみ

薬のSOURCE(源)は 植物(ハーブ)である